アレは誰だ♪
兵は詭道なり 斎藤道三 一・二・三(岩井三四二)
斎藤道三のルーツを油売りではなく、僧侶上がりの武士である父・新左衛門尉の息子とする新資料を元した道三物語。
出世物語としては油売り説の方がよりドラマティックだとは思います。が、この新左衛門尉の息子説は、小身の武士が知略を武器になりあがっていく姿を見守るドキドキワクワク感が溢れ出ているのです。マイナスをプラスにすり替え、あの手この手を使って勝者への道を進んで行くうちに生まれていく家族との亀裂。強大な力を持ってしまったがゆえ生まれてしまう驕りと、それを畏れ疎ましく思う息子たち。息子たちの性格や行動パターンも、その生まれ育った時期に父・道三がどのような立場におかれていたか(=どのような生活環境で育ったか)により、見事にその影響が映し出されています。そして、それを読みきれなかった謀略家・道三。盛者必衰とはいえ、それが実の親子の間にも適用されてしまうのは、生活が即命のやり取りに繋がっている戦国の世だからなのでしょうね。
THE 39 STEPS〜秘密の暗号を追え! 10.02.08マチネ
〔CAST〕
リチャード・ハネイ:石丸幹二
アナベラ/マーガレット/パメラ:高岡早紀
クラウン:今村ねずみ 浅野和之
演出:マライア・エイトキン
日本版演出:デイヴィッド・ニューマン
原作:ジョン・バカン作「三十九階段」
原作映画:アルフレッド・ヒッチコック監督「三十九夜」
脚色:パトリック・バーロウ
翻訳:小田島恒志
上演時間:1時間50分(含・休15分)
笑った、笑ったー!! 客席の反応は、ツボに嵌って笑いっぱなしか、あまりのバカバカしさにしらけてしまうかの二つに一つだと思います。構成としては長編コントそのものだし、笑いは常にシニカルでシュール。しかも、ストーリーはものすごいスピードで進んでしまうし、そんなスピードにも関わらず笑い所はもうそこらじゅうに仕掛けられているし・・・。「秘密の暗号を追え!」というよりは、「秘密の笑い所を探せ!」な感じです。きっと、私の気付けなかった笑いどころがまだまだたくさん隠されているんだろうな。
何がおもしろいって、あの芸達者な役者さんたちが、大真面目に‘おばかさん’になっているところです。もう、彼らが真剣になればなるほどおもしろい! 加えて、四人で139役! いや、実際にはねずみさんと和之さんの二人で135役。単純計算で一人67.5役。んで、実質の上演時間は95分だから・・・、超単純計算だと一役あたりの時間は1.4分!! えぇ、これは見物でした!! ホテルの夫婦役なんて最高です! あんまり違和感がないのもスゴイ〜。初めのうちは、「あ、これはねずみさん」、「こっちは和之さん」なんて‘中の人’当ても楽しんでいたのですが、途中からどっちがねずみさんでどっちが和之さんなのかわからなくなってしまいました(笑)。背格好はともかくお顔立ちは似ているとは思えないのに〜。だから、やっぱり一人67.5役ではなくて、二人135役ですね! 大拍手です!!
実は、初・生・高岡さんでした。妖艶で影があって計算高い悪女のイメージ(あくまで役のイメージ!)があった高岡さんですが、こういうコミカルでかわりやすい(笑)役もお似合いですねー。あの‘わざとらしさ’がたまりません^m^ 雰囲気に流されそうで絶対に流されないくせに、ラストではちゃっかりと流されまくった結果を見せてくれちゃうパメラなんて最高です! 機会があればまた他の舞台作品でも観てみたいなー。
石丸王子は・・・、しれっと真剣にコントをやっている姿が・・・^^; 共演お三方のスクラムの上を、バランス感覚抜群にひょいひょいっと駆け回っている感じ。この軽快感が、作品の疾走感をより強調しているように感じられました。‘役作り’ですね。
演じるハネイは、人間的には厭世的で怠惰なのに、女性は大好きでご本人も男性的魅力に溢れているというお得な人物。ついでに頭も回りすぎるくらい回るし行動力もある・・・から、結果的にトラブルに巻き込まれるんだろうな。で、ハネイ本人は口先はともかく、本心ではトラブルや冒険を楽しんでいる自分を観察して楽しんでいる・・・ような気がします。きっと、生活が落ち着いて、また退屈の虫が騒ぎ出したら、都合よくトラブルに巻き込まれて冒険しちゃいそうな気がする・・・。トラブル引き寄せタイプの典型的なパターンだな〜。
ストーリー的には映画「三十九夜」の方に近いのだと思います。私は小説「三十九階段」の方を読んでおいたのですが、「暗号」の中身は全く違いました^^; ・・・が、この舞台「THE 39 STEPS」は、「暗号」の中身やストーリーそのものはあまり重要ではなく、あくまでも「どう観せるか」が重要なんじゃないかと。キャラクターの心理とか、気持ちの変化の経緯とか・・・、そんなことを突き詰めてしまったら、この作品そのものが成り立たなくなってしまいそうだし。舞台vs客席で、舞台側はどれだけ笑いを提供できるか、客席側はどれだけ笑い所を見つけられるか、ってことでしょう! 楽しめる真剣勝負ですね。
三十九階段(ジョン・バカン/小西宏 訳)
舞台「THE39STEPS−秘密の暗号を追え!−」の予習読書。
全く予備知識なしで読み始めた私は、最後の最後まで「これはハネーの妄想の産物に違いない!」と思ってしました^^; いや、だって、あまりにも荒唐無稽で突拍子もないものだから・・・。まぁ、確かにスパイものは、映画でも小説でも荒唐無稽で突拍子もないものですけどね。
暗号の謎や、スパイの動向そのものよりも、おもしろいのはハネーの逃亡劇です。えぇーっ、そんなご都合主義な!とか、そんなに安易に行動してしまっていいの!?とかツッコミどころ満載のような気もするのですが、わくわくどきどきには事欠きません。これは、小説で読むよりも映像化されたものの方がより楽しめるかもしれませんね。ヒッチコック等によって3度も映画化されているのも納得です。私も機会があれば観てみよう。舞台版はどうなるのか、楽しみでなりません。
四季キャスト 10.02.08更新分 *追記あり*
「ライオンキング」 春
シェンジ: 玉石まどか 小林英恵 → 小林英恵
「クレイジー・フォー・ユー」 秋
02.06更新分より変更なし
「エビータ」 自由
01.20更新分より変更なし
エビータ: ダブル継続(野村 秋)
「アイーダ」 海
01.25更新分より変更なし
「CATS」 横浜
グリザベラ: 早水小夜子 木村智秋 白木美貴子 → 白木美貴子
ジェニエニドッツ: 鈴木由佳乃 → 礒津ひろみ
マンカストラップ: 福井晶一 → 武藤寛
タンブルブルータス: 川野翔 → 川野翔 松永隆志
「オペラ座の怪人」 名古屋
02.01更新分より変更なし
ラウル・ャニュイ子爵: ダブル継続(鈴木 飯田)
カルロッタ・ジュディチェルリ: ダブル継続(種子島 河村)
「美女と野獣」 京都
コッグスワース: 池田英治 → 青羽剛
チップ: 川良美由紀 → 岸本美香
「ウィキッド」 大阪
01.12更新分より変更なし
「マンマ・ミーア!」 広島
05.23開幕予定
「クレイジー・フォー・ユー」 福岡
04.01開幕予定
「人間になりたがった猫」 全国
02.01更新分より変更なし
「エルコスの祈り」 全国
エルコス: 五所真理子 鳥原如未 → 鳥原如未
ダニエラ: 丹靖子 → 青山弥生
「ソング&ダンス 55ステップス」 全国
01.22更新分より変更なし
「はだかの王様」 全国
02.04更新分より変更なし
今週は、「THE 39 STEPS」、歌舞伎座の昼、「ローズ・アダージオ」の3本です。お友達とランチの約束もあるぞ! 空模様があまり良くないらしいけど、この時期は一雨ごとに春が近づいてくるんですものね♪ 良い雨だわ。・・・春と一緒に花粉も近づいてきちゃうのが困りモノなんだけど。
*追記 21:00*
「CATS」
スキンブルシャンクス: 岸佳宏 → 劉昌明
「オペラ座」
ラウル・シャニュイ子爵: 鈴木涼太 飯田達郎 → 鈴木涼太
「人猫」
ジリアン: 谷口あかり → 桑野東萌
日曜
ところで、昨日初日を迎えた「CFY」にチャオさんがご出演だったんだとか! うーむ、最近の四季役者さんの動向は全く予想がつかんなぁ。チケは一枚も持っていないけれど、行く気満々だったりする私^^; 「CFY」は本当に楽しくて大好き! さてと、いつ行こうかな〜。
【四季キャスト】
「LK」
シェンジ: 玉石まどか 小林英恵(追)(2/6付)
背の眼 上・下(道尾秀介)
「あ、ホラーなんだな」と思って読み始めたのですが、ところがどっこいのミステリーでした。単純に言ってしまえば、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」なストーリーなのですが、そこに行き着くまでの数々のエピソードには、色々と考えさせられます。ただ、あまりにもそのエピソード群のインパクトが強すぎて、肝心の主線が少々ぼやけ気味なのが残念といえば残念。エピソードの行き先が途切れてしまっているものが多々あるのも気になります。一連の事件の犯人も、確かに現実にありえることなんだろうけれど・・・。この犯人の場合、もし裁判にかけられたとしても「心神喪失状態」ってことになるんですよね? それは・・・ちょっとずるいような気もします。もちろん、そんな状態になるほど彼の悲しみが深かったってことなんでしょうけど。
京極夏彦作品と横溝正史作品を足して、旅情ミステリーで割ったような作品かな。
シリーズ化されているようなので、他作品も楽しみです。
歯科的鬼門 *追記あり*
歯医者さんによると、節分豆にやられる人って毎年いるんですって。七五三の千歳飴も鬼門だそうですよ。気をつけましょうね。
*追記 15:00*
【四季キャスト】
「CATS」
グリザベラ: 早水小夜子 木村智秋 白木美貴子(追)
白木グリザ・・・、観たいかもしれない。
連歌師幽艶行(岩井三四二)
収録作品
尾張の虎
竜宮の太刀
たぎつ瀬の
おどらばおどれ
散らし書き
女曲舞
あるじ忘れぬ
富士を仰ぐ
「地侍の息子・友軌が、師とともに東国へ下る旅をしながら、次第に連歌師という仕事に目覚めていく姿を描いた長編時代小説・・・」となっていますが、紀行文の形を取った連続短編時代小説だと思います。
連歌という言葉はなんとなく知っていましたが、その具体的な内容は全く知らなかった私。もちろん、連歌師という仕事もこの書籍で始めて知りました。しかも、主人公・友軌の師である宗牧は実在の人物なのですね。そして、「友軌が〜連歌師という仕事に目覚めていく」のは確かなのですが、それ以上に戦国時代に生きる人間の厳しさがひしひしと伝わってきます。「たぎつ瀬の」の千代や「女曲舞」の鶴菊ような、「女」であるがための悲劇。「竜宮の太刀」の孫太郎や「あるじ忘れぬ」の弥右衛門のような「男」であるための悲劇。辛くずっしりと響く作品の多い中で、楽しかったのは「散らし書き」。「宗順はんのご内室さん」、良いな〜。
サ・ビ・タ〜雨が運んだ愛〜 プレビュー公演 10.02.04マチネ
〔CAST〕
ドンウク:駒田一
ドンヒョン:山崎育三郎
ユ・ミリ:原田夏希
日本語台本・訳詞・演出:中島淳彦
脚本:オ・ウンヒ
上演時間:1時間40分(休なし)
「5組10名様ご招待? 当たるわけないけどとりあえず応募しておこう」、・・・当たっちゃいました\(◎o◎)/! お年玉年賀ハガキ200枚中当選ゼロだったクジ運が、こちらに回っていたの? それとも、来週に控えた誕生日を見越してのプレゼントだったのでしょうか? とにもかくにもありがとうございます(^^) ドンウク兄ちゃんと一緒にお誕生日をお祝いしてもらった気分に浸らせていただきました。急なお誘いにも関わらず、快くご一緒してくださったCさんもありがとうございました。
ここのところ、「黒衣の僧」やら「蜘蛛女のキス」やら、三歩進んで二歩下がりながら鑑賞する作品が続いていたので、この「サ・ビ・タ」の親しみやすさと直球ぶりには心から安らげました。やっぱり良いな〜、この作品。
前回公演時に比べて、衣装やセットが豪華になっていたことにビックリ。ピアノやキッチンへのドアの位置なんかも多少変更されていました。初演時のあのなんともチープな感じも良かったのですが、今回はかわいらしさや温もり感がUP。お兄ちゃんの家族への温かな気持ちが随所に散りばめられているようなお部屋になっていました。あのクマちゃん(ユーシンちゃん?)、かわいかったなぁ。セリフや演出の変更箇所も多かったと思います。ムダな部分がなくなってすっきりと整理され、各キャラクターの心情がよりわかりやすくなった感じ。加えて、再演だけあって、キャスト三名の仲のよさや信頼関係が透けて見えるようなチームワークの良さ! 何も余計なことを考えずに安心して観ていられるっていうのも心地よさの原因だと思います。
観客参加場面は残念ながら減少していました。クラッカー担当さんがカット・・・、というより、クラッカーシーンそのものがカット。ついでに風船も降ってきません。ちょっと寂しいなぁ。でも、これは会場のせいかも。このリリオホールも本多劇場も、「サ・ビ・タ」には広すぎるんじゃないかと・・・。やっぱり、この演目はトラムサイズ以下の劇場じゃないと。観客参加場面は減少していましたが、その代わりキャストさんの客席降りが増えてました。下手側はユ・ミリの夏希ちゃんがメインで降りて来てくれます。か・・・かわいい・・・(*^_^*) そうそう、今回の雨降らし担当のお客さん、二人とも笑わせてくれました〜。あんまり笑いすぎて、肝心のセリフを聞き逃してしまうくらいでしたよ! ナイスです!!
私は三人姉弟の長子である上に末の弟とは8歳離れているもので、もうどっぷりとドンウク兄ちゃんに感情移入してしまいました。お兄ちゃんは「好きでこんな生き方をしているわけじゃない」なんて言うけれど、これはあくまで結果論。その前に、長子としての責任感と妹弟たちへの愛情があるんですよね。その気持ちに従った結果、「こんな生き方」になっただけのこと。ちょっと行き過ぎたり、方向が微妙にずれてしまったりというのは、妹弟たちから見た場合の感覚であって、お兄ちゃん本人は全身全霊で責任と愛情とに向き合っているだけ。ただ、兄はどこまでいっても兄であり親ではないことが、妹弟たちの重荷になってしまうんだろうなぁ。お兄ちゃんは自分を親代わりだと任じているけれど、妹弟たちにとっては兄は兄、親は親。お兄ちゃん、寂しいなぁ(/_;) あそこまで濃厚な愛情を示されれば鬱陶しくなるのもわかるし、自分の家庭を持った以上そちらが第一になるのは当然だけど・・・、お兄ちゃんの行き場のない愛情を少しはわかってあげようよ。「お誕生日おめでとう」くらいは・・・ね。
そして、お兄ちゃんも、ドンヒョンの言うとおりに、今度は自分のために生きていけると良いね。自分の行くべき道が見つからず右往左往しているユ・ミリも、自分の進む道を見失って立ち止まっているドンヒョンも、自分のための生き方に初めて向かい合うドンウクも、急がずにそれぞれのペースで進んで行けたらいいなぁ。
ラストのピアノのシーン。ピアノの位置が変わったせいで、兄弟が演奏しながら目を交わせるようになったのは◎! 前回は背中合わせで、それぞれ静かに微笑ながら(私の席位置からはドンヒョンの表情しか観えなかったけれど、多分お兄ちゃんも微笑んでいたんだと思う)の演奏で、それはそれで余韻が感じられたけど、今回の競うように楽しげな表情の二人を両方とも観られるっていうのは、また格別です。
前回公演時には(拝見したのが千秋楽近くだったせいもあって)声枯れが酷くて、聴いてる方が辛くなってしまったドンウク・駒田さんは、今回は絶好調! あのハスキーでありながらも温かく力強い歌声を堪能させていただきました。ちょっとした視線や姿勢で場面場面の感情を見事に伝えてくるのもさすが!
ドンヒョン・育くんは男っぽくなったなーと。お兄ちゃんと対等の大人として向かい合う表情と、弟として甘えを見せる表情のギャップがね・・・(*^_^*) あれじゃあ、やっぱりお兄ちゃんとしてはかわいくて仕方ないと思うよ。
ユ・ミリ・夏希ちゃんは、何をしていてもかわいい! これはキャスティングの勝利だと思います。あの衣装を全くいやらしくなく着こなせる人ってそうそういないと思うし、歌にしてもダンスにしてもあの必死感をあそこまで自然に出せる人もそうそういないんじゃないかと。
これから全国を回って、下北沢・本多劇場に戻ってくるそうです。「直球の愛」、全国に届けてくださいね!
固まらない *追記あり*
*追記 19:00*
こんな方に出会えました↓

【四季キャスト】
「はだか」
王女の恋人デニム: 未定 → 鈴木伶央
運動大臣アロハ: 未定 → 加藤迪
ペテン師スリップ 未定 → 服部ゆう
白衣の女 上・中・下(ウィルキー・コリンズ/中島賢二 訳)
「ミュージカル ウーマン・イン・ホワイト」の復習読書。
図書館から借り出したとき、「こんなに長い物語を、よくもまぁ2時間半のミュージカルに仕立てたものだ」と感じました。読了後は、「随分と思い切ってバッサリとやったものだ」と感じました(笑)。マリアン、ローラ、ハートライトはまだいいとして、パーシヴァル卿やフォスコ伯爵なんて、ほとんど別人になってしますよね? この悪役ともいえる二人は、小説ではその行為の裏側にも彼らなりの理由があるわけですが、ミュージカルになると単なる悪者・・・さらにいえば、性格的精神的になんらかの欠落を窺わせる悪者として描かれています。まぁ、当然ミュージカルなので、歌も歌わなくちゃいけないし、ダンスもおどらなくちゃいけなし、物語上、主役3人にバランスがよってしまうのは仕方の無いことだし、2時間半で完結させなきゃいけないし・・・。これらの上で、悪役を扱うとしたら、ここまで思い切って単純化する必要があったのでしょうね。
物語は当事者たちの手記によるリレーで展開していきます。ところどころ時間的な重なりを見せる手記により、物語がをより立体的に展開させていく手法はさすが。土地と土地の関連や当時の身分制度、女性の地位、ひいてはヨーロッパ世界におけるイギリスの立場等々、興味深く窺えるのも本書の魅力になっているのだと思います。
非常にマリアンらしいと感じたセリフが↓。
「私に勇気がないなどと思わないでくださいね。〜中略〜泣いているのは、私の弱さなのであって、私そのものではないのです。〜後略〜」
本書中では、はっきりと「美しくない」「不美人」だと言われているマリアンですが、当時のイギリス社会においてのこの強さは眩しいほど美しかったに違いありません。だからこそ、フォスコ伯爵の唯一の弱点にもなり得たんですよね。
冷え〜っとした感じ *追記あり*
【四季キャスト】
「CATS」
グリザベラ: 早水小夜子 木村智秋(追)
*追記 17:30*
Noism公式に松本公演の写真が出ましたね。賢くんは・・・、白衣の人物? そういえば、2月上旬に予定されていたような気がするマカオ公演は無くなったのかしら?
異説卒塔婆丸綺談 10.02.02ソワレ
〔CAST〕
とら:中村誠治郎 たつ:島田朋尚
伊織:宮田彩子 真乃:桃瀬ツカサ
潮路:松田環 忠次:原丈二
帆平:松澤太陽(テアトル・エコー) 勇太郎:平山佳延
日向:吉田玲奈 鹿子:中村知世
入江惣三郎:鈴木優介 設楽慶康:各務立基(花組芝居)
保科京之介:中村英司(Z団) 大賀藤兵衛:ワダ・タワー(クロカミショウネン18)
才谷梅太郎:横井伸明
作・演出:松田環
殺陣・アクション:中村誠治郎
上演時間:2時間20分(休なし)
お初の劇団さんです。なんと創立25周年なんだとか! 四半世紀!! すごいなぁ〜、おめでとうございます!
え〜っと、ビジュアル系アクションラブロマンス幕末時代劇・・・? 衣装や音楽、演出もアニメ映画のようでした。まずプロローグで物語の前段階をチラッと見せ、次に大音量の主題曲(?)に乗り、登場人物全員を次々に登場させ、各キャラクターの象徴的なシーンをコラージュしたオープニングがあり、ようやく物語が始まるわけです。このオープニング部分がかなり唐突に始まるので(確かにアニメもそうですよね)、ニブイ私は「えぇ〜っ、こんなに次々に人が出てきて、それぞれに動かれたら何がなんだかわからないよー」な気分に^^; まぁ、途中で気付きましたけどね。わからなくて当然だって。だって、ここで繰り広げられているのは、これから始まる物語の超ダイジェスト版なんですもの。そして、この段階で舞台の構成を飲み込めれば、後は何の問題もなく楽しめちゃいます! それにしても、このオープニングを筆頭に各アクションシーンは、ひっじょ〜うに格好良かったです!! イケメンさんたちも多かったしね(*^_^*) あ、この殺陣やアクションって、とら役の中村さんが担当されていたんだ(りーフレットより)。へぇ〜。
↑の〔CAST〕役名に「才谷梅太郎」があることで察せられるわけですが・・・、舞台になる時代は幕末。場所は流人島である卒塔婆島。登場するのは、卒塔婆島を拠点に跋扈する海賊たち、島津家への輿入れを拒み卒塔婆島に流れ着いた会津藩の姫君とその腰元、その姫君を追う島津家の面々。ストーリーそのものはフィクションであるのはわかりきっているのですが、もしかしたら歴史の隙間にそんなことがあったかも知れない・・・と思わせてしまうだけのものがあるのが不思議。・・・、ふと立ち止まって考えてしまうと、ツッコミどころ満載なんですけど・・・、でもそこはビジュアル系アクションラブロマンス幕末時代劇だし、そんなに突き詰めて考えても・・・ってところです(笑)。
結末が完全なるハッピーエンドではないってところもポイントでしょうか。たつと真乃が幸せの塊のような存在であるのに対して、後ほんの一歩で同じように幸せに届くところにいたとらと伊織。多分、この四人には、全員が幸せであるか、全員が不幸であるかの二者択一しかないんじゃないかと思うのです。「身分の差がなくなればいい」とは願うけれど、それが具体的に倒幕に結びつくなんてことには思い至っていないだろうとらとたつ。自身の気持ちや思いなどないかのように、駒として扱われる伊織と真乃。すぐそこに迫っている維新。維新後の己の権力と保身しか目に入らない武士。敢えて蚊帳の外においておいた一個人や弱者を、都合の良い時だけ利用しようとするヤツラはいつの時代にもいるし、その犠牲となる者もまたいつの時代にも存在してしまうんだよなー、としみじみ考えてしまった終演後でした。
印象に残ったキャストさんは、才谷役の横井さんと、入江役の鈴木さん、保科役の中村さん。鈴木さんの入江は強烈だったなぁ。おそらくは沖田総司をベースに新撰組創立メンバーをミックスして、大石鍬次郎や岡田以蔵あたりをトッピングしたようなキャラクター。ありがちといえばそうだけど、それでもやっぱり強烈であることには変わりないものね。
エンディングでも使われていた卒塔婆島踊り(?)の曲も良かったなー。なんとなく、「ええじゃないか」を連想させるような猥雑さや刹那的なものを含んだエネルギッシュな曲。インパクト大でした。
後は・・・、カテコ後の次作告知がおもしろかったです。さっきまで本編に登場していた役者さんが、早替で次作登場人物に扮しCM風にワンシーンを演じてみせるというもの。そっか、この劇団さんは、こういった映像的な演出が得意なんだ!
蜘蛛女のキス 10.02.01マチネ
〔CAST〕
モリーナ:石井一孝 蜘蛛女/オーロラ:金志賢
ヴァレンティン:浦井健治 モリーナの母:初風諄
刑務所長:今井朋彦 マルタ:朝澄けい
ガブリエル/囚人カルロス:縄田晋 看守マルコス:ひのあらた
看守エステバン:田村雄一 アウレリオ/囚人ライモンド:照井裕隆
囚人フェンテス:笹木重人 囚人エミリオ:長内正樹
囚人/ダンサー:辻本知彦
演出・訳詞・上演台本:荻田浩一
原作:マヌエル・プイグ
脚本:テレンス・マクナリー
作曲・作詞:ジョン・カンダー&フレッド・エッブ
コンダクター:
上演時間:3時間5分(含・休15分)
この演目、2007年版も観ているのですが・・・、あまりの印象の違いに驚いています。2007年時は幻想的なまでに切ないと感じたのですが、今回は何かもっとこう肉薄した切なさと、それに加えてどんなに苛烈な環境においても強くなれるんだという希望みたいなものが感じられました。キャストさんに変化があったからか、私の精神面に変化があったのか・・・。こういう体験をするたびに、「舞台は生もの」って本当だなぁと思ってしまいます。
その変化の(おそらく)大元であろうオーロラ。
前回の朝海オーロラは、とにかく非現実的までの美しさでスクリーンの中の夢の世界を体現していました。どんなにモリーナやヴァレンティンの近くにいても、オーロラの周囲にはガラスがはりめぐらされていて、そこには確実に次元の違いが存在していると感じられたのです。モリーナが現実逃避するにふさわしい、ここではない他の世界のように。
今回の金オーロラは、貫禄たっぷりの大女優の態で、毒を含んだ迫力は蜘蛛の巣で悠然と獲物を待つ女郎蜘蛛そのものでした。口元に薄笑いを浮かべ、誘惑するようにモリーナに近寄り、ヴァレンティンに忍び寄る姿は、「希望」という言葉で塗り固められた「堕落」への導き手のようにも感じられました。
衣装やショー(?)の演出も変わっているんじゃないかなぁ?(オーロラのシーン以外でも演出変更箇所は多かったと思う) 役者さんと衣装・演出の変化により、より一層、モリーナの中のオーロラ=蜘蛛女の位置がはっきりしたようにも思えます。過酷で劣悪な環境の中での希望として(オーロラ)、同時に、その希望を手に入れるために自分の尊厳を貶めることすら厭わなくなっていく堕落として(蜘蛛女)の象徴。そして、蜘蛛女(堕落)はオーロラ(希望)の一部でもあるという現実。さらに、蜘蛛女であるオーロラは恋人のために微笑みながら命を投げ出すことのできる歌姫であるのですよね。一人の人間の持つ多面性や多様性を、映画女優であるオーロラに具現化させているのでしょうか。特に、モリーナ出所前夜からラストまでのモリーナとヴァレンティンは、まさにオーロラの演じてきた様々な人間性の全てが二人の上に現れているような気がします。その結果のモリーナの強さであり、ヴァレンティンの葛藤であるんですよね。人間は希望を得るためには、どんなに堕落することもできる代わりに、どこまでも強くもなれるものなんだよなぁ・・・と。ハッピーエンドとはいえないラストが、あのような穏やかで優しい場面であるのも、「強さ」なんだろうなぁ。
そして、穏やかで優しいラストの中で、異質な存在感を漂わせる蜘蛛ダンサー(?)。次に強さを試されるのはマルタってことかしら?
変化の元・その2は、おそらく刑務所長。
前回の藤本-所長は冷酷怜悧で情け容赦なし!な雰囲気でしたが、今回の今井-所長はねちっこく執念深い偏執的な雰囲気を放っていました。なんだか、笑いながら、指を一本ずつ切り落としそうな感じ。どちらの所長も避けて通りたいものです^^; この所長、「愛」なんて言葉は鼻先で笑い飛ばしそうなのに、ヴァレンティンに対するモリーナの恋情は利用できると確信しているんですよね。このあたり、本当に人間って不思議だなぁと思うところです。・・・あー、恋愛感情で動く人間は下等だと思っているのかも。
前回、登場シーンで「・・・^^;」となってしまったカズ-モリーナでしたが、今回は初っ端からもうかわいくてかわいくてv ヴァレンティン、もうモリーナでいいじゃん!! マルタはこんなにも尽くしてくれないと思うよ! ・・・、だからこその、あのラストシーンでのヴァレンティンなのでしょうけどね。あぁ、それにしても、切ないなぁ、モリーナ。
浦井ヴァレンティンはオトコになっていました。前回公演時は、まだ少年っぽいかわいらしさも十分に残っていて、「カワイイ少年が好き」なモリーナのドンピシャど真ん中じゃないの!などと思ったのですが、今回は、男くさくて理屈っぽくて利己主義で鬱陶しいくらいのオトコ。でも、オンナの目から言わせてもらうと、好みの問題はあれ、こういうタイプのオトコは魅力的なのですよね。しかも二枚目だし(笑)。・・・、所長の計略に嵌って行くモリーナを見ているのは悔しくもあるけれど、こんなヴァレンティンに出会えたらこそ、モリーナは強くなれたんだよなぁ・・・。ん〜、複雑。
その他では・・・、
とにかく、歌えて踊れるキャストさん揃いで大満足でした! 暴力的で陰鬱なシーンが多いけれど、それほど後味が悪くないのは、あのラストシーンの効果も大きいとは思いますが、このすばらしい歌声のお陰なんじゃないかと。Wムファサな看守さんコンビもステキに極悪だったし、モリーナの楽しいお友達アウレリオ・テリーにもニンマリでありました。うん、満足満足。
